セーハ
自分の中でプチブームが続くバロックヴァイオリンのセミナーに逝って来た。
と言っても、ヴァイオリンを習い始めるとか古楽を聞き始める、とかでは無く、
もっぱら構造とか、製作の考え方に興味があるだけなんだけども。
初めて知ったのだけど、モダンではセーハってしない(出来ない?)んだね。
それを指板幅を広げて、弦間ピッチも広げて、指板Rも若干フラット気味にする事で
セーハが可能になった!みたいな内容でした。
あと、異弦同フレ(フレットは存在しないけど)を二本の指で弾けるようになった!みたいな。
だから対位法の曲の2つの声部を上手く弾けるぜコノヤロウ、という。
ギタリストにとっては何でもない奏法だけど、同じ弦楽器でもやはり結構な差があるねー。
たしかに弦間ピッチが狭いと、コードを押さえる時に隣の弦に触れてしまい
音がキレイに鳴らないってのはギターでもよくある話で、北欧系のバカでかいギタリストが
ハイポジで、もうフレットとフレットの間に指が入りません、というような事態も
結構あると聞いた事がある。
携帯電話で、ボタン2個いっぺんに押しちゃう、みたいな。
不思議に思ったのは、セミナー内でも言及してたけど、各部の寸法がほぼ規格化された
モダンと違って、オールド(って言うのか?)の時代は、プレイヤーや製作家、地域によって
寸法とか結構まちまちだったって話が出てたのだが、だったらやはりバカでかい手の持ち主は
バカでかいヴァイオリンを作らせてたんだろうか。
俺みたいな手の小さいヤツは、ショートスケールとか。
あと指板のRってナットから指板エンドまで一定だって話だったけど(モダンもバロックも)
エレキでもたまにあるみたいなコニカルの指板で作ってみればいいのに・・とか思ったね。
たぶん昔は工作機械の精度上、無理だったのかな。NCルーターとかあるワケ無いし。
そしたら弦高バリ低で、ビレも無いのが出来る・・・のか?知らんけど。
現代のエレキギターは当然ながらまだ歴史が浅くて、まだまだ試行錯誤できる余地が
たっぷり残されてるワケで、そういう意味で言うと、ちょうどこのオールド期の楽器の
試行錯誤の過程に似てるなーという。
時代は変われど人間の手の構造とか変わらないので、(工作機械の精度は上がれど)
昔の人と現代人で、それほど考える事に違いは無いような気もするしな。
(だからこそセミナーに逝ってみたんだけど)
もちろん情報の伝播スピードは、現代の方が比較にならないくらい速いので
その分進化スピードも速いんだろうとは思うけど。
しかし時代は回るっつーか、昔も今も変わらないなーと思うのは、セミナー内でも言及されてたのだが、
モダンに取って変わったのは(ニワトリと卵どっちが先かという疑問はあれど)
対位法的な楽曲がそもそも廃れたから、みたいな説明だった。
進化の袋小路って感じ?
それは例えば現代のエレキでも似たような事が起こってて、一時期7弦がブームになって
ヘビーなリフを7弦で弾く、みたいなのがよくあったけど、最近だと6弦でダウンチューニングの方が
多いんじゃない?
表現方法としてローBじゃなくてドロップDで十分じゃん、みたいな。よく知らんけど。
進化の枝分かれの先が袋小路なのかどうなのかってのは、実際に作って弾いてみないと
分からんもんだろうしな。
ただしかし、俺が欲しい「9弦でファンフレット」という楽器は、明らかに袋小路だろうな(笑